chimaera's garage

きめら流タイヤ選び

第2回


さて、かぷち号の場合は

第2回ということでかぷち号を実例に挙げて、タイヤ交換のプロセスを考えてみましょう。タイヤによってクルマの性格が変わってしまうほど、タイヤの選択は重要です。そこで、考えなければいけないのが、どのような性能を重視するのか、あるいは重視しない項目はあるのか、これを考えなければいけません。
で、タイヤの性能というと、 なんて項目がよく挙がります。ここらへんは、タイヤのカタログなんかにも良く出ていて、項目ごとにグラフなんかが書いてあったりする場合もありますね。多くのタイヤメーカーでは、 グリップ重視のものをスポーツタイヤ静かさ重視のものをコンフォートタイヤ寿命重視 のものをエコロジー系タイヤというように分類してラインアップしていたりします。なぜかエコロジー系タイヤは、値段もそこそこに抑えられていることが多いですね。
たとえば、ブリヂストンではPOTENZA、ヨコハマではADVAN、ダンロップではフォーミュラ、ミシュランではパイロットスポーツと呼ばれているタイヤが、いわゆるスポーツタイヤとして設定されているものです。また、レグノ、デシベル、ルマン、MXVあたりはコンフォート系として設定されているようです。つまり各社、それぞれ何を重視するかによってタイヤを作り分けていると考えて良いでしょう。
これに前回やったサイズの問題も付け加わります。何を重視するかによって、どのブランドでどのサイズを選ぶかが代わってくるわけです。かぷち号の場合、重視する性能は、
  1. 軽快感のあるハンドリング
  2. オープンにしてもロードノイズが気にならないこと
  3. それなりの乗り心地
  4. グリップはそこそこあれば
  5. できれば安いとうれしい
  6. 寿命は常識の範囲であれば気にしない
と、いうわけで、重視するのはハンドリングと静粛性。重視しないのはグリップ、値段、寿命ということになります。これをはっきりさせた上で、選べるタイヤから適したものを選んでいくのです。

さて、かぷちで選べるタイヤとは

理想的なタイヤが判っても、売っていないものは入手できません。また、好みのブランドがあっても、必要なサイズが設定されていなければ、当然選べない訳です。現在(2002年1月中旬)、かぷち号に考えられるサイズとしては、ホイールを換えないことを前提条件とすると165/65R14と175/60R14の二つがあります。185/55R14や185/60R14といったサイズも、物理的には考えられなくは無いのですが、今回は考えないこととします。なぜなら不用意に幅を太くすると、絶対的なグリップの向上が期待できる代わりに、ハンドリングの軽快感を失う可能性が高いからです。というわけで、あまり幅を広げることなく選べるタイヤと言うことになると、以下のようになります。

165/65R14サイズ

ブリヂストン
B650AQ
ブリヂストン
スニーカー
ミシュラン
XT1
ダンロップ
SP65e
ヨコハマ
DNA ECOS
175/60R14サイズ

ブリヂストン
POTENZA RE01
ブリヂストン
POTENZA GIII
ブリヂストン
B60
ミシュラン
パイロットエグザルト
ダンロップ
フォーミュラFM901
ダンロップ
ルマンLM702
ヨコハマ
ADVAN NEOVA
ヨコハマ
DNA GP


スポーツ系ブランド

コンフォート系ブランド

コンフォート+エコ系ブランド

エコロジー系ブランド

165/65R14だとエコロジー系、175/60R14だとスポーツ系が多いのが判りますね。正直なところ、B650AQやXT1は、どこに分類して良いのか微妙なんですよね。コンフォート系と言えなくもないのだろうけど、それぞれレグノ、XMVという高級コンフォート系タイヤが用意されています。(このサイズはないんですけどね) 高級コンフォート系タイヤがカプチーノあたりのサイズで設定されていないのは、この手のタイヤの主な対象として、セルシオとかクラウンとかシーマあたりを想定しているためでしょう。仕方ないと言えば、仕方ない。逆に、エコロジー系タイヤは一杯あったりする。これは、いわゆる環境・燃費志向のコンパクトカーと共通のサイズだからでしょうね。意外にも、175/60R14はスポーツ系タイヤが多いみたい。今回は、この中から、好みにあったものを選ぶと言うことになります。

結果、どうなるのかというと

まず、軽快なハンドリングと言うことで、エコロジー系が消えます。寿命も重視してないので、これは外してしまって良いでしょう。さらに、グリップも重視しないので、スポーツ系を消すとなると、選択肢は一気に減ってしまいます。
ここで、サイズの問題も思い出さなければいけません。欲しいタイヤでも、装着できるサイズがなければ意味がないのです。ここで、カタログに小さく記載されている実際の大きさを見てみると、結構意外なことが分かったりします。以下は、細かく計測された実際のサイズを表記のサイズごとに並べたものです。
165/65R14サイズ

外径
タイヤ幅
速度記号
ブリヂストン
B650AQ
572
168
S
ブリヂストン
スニーカー
570
168
S
ミシュラン
XT1
570
170
T
ダンロップ
SP65e
570
168
S
ヨコハマ
DNA ECOS
569
171
S
175/60R14サイズ




ブリヂストン
POTENZA RE01
564
176
H
ブリヂストン
POTENZA GIII
566
177
H
ブリヂストン
B60
564
176
H
ミシュラン
パイロットエグザルト
566
177
H
ダンロップ
フォーミュラFM901
569
174
H
ダンロップ
ルマンLM702
568
168
H
ヨコハマ
ADVAN NEOVA
566
176
H
ヨコハマ
DNA GP
567
174
H

単純に、ハイグリップだと幅が広いだけではないんですね。ゴム(コンパウンド)の性質の問題もありますし、溝のパターンによっても違ったりしますので、一概には言えないわけです。この表を見て、軽快感のために不用意に幅を広げたくないという要求と、ある程度のハンドリング、コンフォート系であると言う要求を満たすタイヤがあるかをチェックしていきます。ちなみに、XT1以外の165/65組は、速度記号からタイヤ剛性が弱いと判断して、除外します。そうなるとXT1、ダンロップルマンLM702、ヨコハマDNA GPの三つが幅の面から候補になりますね。今回は、最終的に設計年次が新しいということで、ダンロップLM702に決定。

おまけ

こうして、サイズを見てみると、総じてブリヂストンとミシュランは幅を広めに取る傾向がありますね。POTENZA RE-01は別として、あまりグリップに振ってないコンパウンドでグリップを稼ごうとしているのかも知れない。そうすれば、寿命と両立が狙えるだろうし。 
逆に、ダンロップは幅を狭く作るのがお好みの様子。LM702なんて、165/65R14でも良いような気がする。スポーツタイヤのFM901でも細めだし、これがポリシーなんでしょうね。ヨコハマタイヤは、ブランドによって違うので、どうなんでしょう。適当ってことはないと思いますけどね。NEOVAとDNA GPの関係は、サイズからも狙いが判りやすいです。
「ハイバランス コンフォート系」を謳っているLM702が、「よりエコノミーな走りのための」DNA ECOSよりも実際の幅が狭いんですよね。表記されてるサイズではLM702の方が幅広なんだけど。と、いうわけで、サイズに関してはカタログに小さく載ってる実サイズまで見ておいた方が良いですね。というか、表記のサイズ、あてになりません。