chimaera's garage

きめら流タイヤ選び

第1回


タイヤは、クルマの中で唯一、路面と接している部品です。クルマの基本的な機能は「走る、曲がる、止まる」の三つですが、このすべてにタイヤが影響を及ぼします。タイヤが替わればクルマの印象が変わると言っても過言ではありません。
さて、うちのかぷち号、純正装着タイヤ(新車で買うと着いてくるタイヤ)は、ブリヂストンのPOTENZA RE96(サイズ165/65R14 79H)です。確かにかぷち号がうちに来たときにはこのタイヤがついていました。しかし、さすがに経年劣化でゴムが固くなっていましたし、RE96にはあまり良い印象がないのが実情です。(噂によるとウェットグリップ以外はバランスのとれた良いタイヤらしい)とはいえ、RE96は、さすがに基本設計も古いですし、わたしはそれほどドライグリップにこだわらない人なので、カプチーノを入手するやいなや、当時でたばかりのB650AQ(サイズ165/65R14 79H)を履かせていました。B650AQは、いわゆるスポーツカー向きのタイヤと言うよりは、普通のタイヤです。そのB650AQも三分山となり交換時期です。新しいタイヤを選ばなければなりません。それで、今回のきめら流のタイヤ選びとなるわけです。

まずはサイズの読み方から

タイヤサイズは165/65R14 79Hとかいうふうに書かれる訳なんですが、これの意味は、
165 / 65 R 14 79 H
タイヤ幅
偏平率
ホイールサイズ ロードインデックス 速度記号

となっています。タイヤを買う場合、問題になるのはタイヤ幅、偏平率、ホイールサイズの三つですね。この三つでタイヤのサイズを表しています。紳士服を買いに行ったときの、A5とかB6とかYA5とかと言うのと一緒です。(よけい分かりにくいですか?)大きすぎるようであればクルマからはみ出しますし、場合によっては物理的に入りません。逆の場合も、ホイールの中にはブレーキがありますので、それにあたって入らないと言うことがあります。さらに単純に、外径がかわるとスピードメーターや距離計が狂います。
サイズの中で、タイヤ幅はタイヤの接地面の幅で単位はmm。偏平率はタイヤがどれだけ薄いかを表すもので、数値が小さいほど幅に対して薄い(=高さが低い)ことになります。この偏平率とタイヤ幅、ホイールサイズで外径が決まります。この外径は、先ほどのメータ誤差の問題もありますし、できるだけ変わらないようにした方が無難でしょう。ホイールサイズは、ホイールごと買い換えるのであれば問題ないんですけど、そうでない場合は現在ついているホイールのサイズに合わせた方がいいでしょうね。とうぜん、違うサイズのホイールには、装着できません。
次は、サイズ以外の項目です。ロードインデックスは、タイヤが耐えられる負荷の値です。基本的には純正装着のタイヤよりも数値の大きいものを選べば問題はないです。最後の速度記号は、そのタイヤが耐えられる速度を表しています。

【S】180km/h 偏平率が80/70/65の標準的なタイヤ
【T】190km/h 70/65の上級グレードのタイヤ
【H】210km/h 偏平率60のタイヤです。70/65の上級グレードのタイヤ
【V】240km/h 偏平率55/50
【Z】240km/h以上 偏平率45/40/35/30

日本国内で使う分にはSで十分だと思いますが、速度記号はタイヤ本体の剛性密接に結びついているので、できれば標準装着タイヤと同じかより高い速度記号のものを用いた方が良いです。一部のワゴン系では、速度ではなく剛性上の問題で高い速度記号のタイヤを純正指定としている場合があります。この場合、「スピードを出さないから」と低い速度記号のものを選ぶと、非常に不安定になると言われています。

じゃぁ、どのタイヤが良いのか

では、どういうふうに書かれたタイヤが良いのかというと、一般的には純正サイズ、あるいはそれよりも少しだけ幅の大きいものが無難です。あえて外径を小さくして実質的なギア比を下げるという技があったりもしますが、見た目、タイヤが小さくなりますし、あまり街乗りでやる人はいないでしょうね。大きくすると、前述のようにホイールハウスに接触するおそれがあります。
あえて純正サイズ以外のタイヤを選択する場合には、外径を基準にしてタイヤ幅と偏平率の組み合わせを見ていく形になります。この時、外径が10mm程度くらいの誤差におさまる組み合わせを探しましょう。外径は、タイヤがすり減っても変化しますから、10mmくらいは誤差範囲です。それ以上の違い、特に大きくなる場合は、接触しないか確認が必要になります。
また、ホイールのサイズを大きいものへ変えることは、インチアップなんて言ったりして、結構流行っているようです。ヨコハマタイヤあたりはインチアップを推奨していた時期もありました。この時も、外径を変えないように、タイヤ幅と偏平率を選んでください。また、ホイールサイズは中にブレーキが入っている都合上、小さくできない場合もあります。
ちなみに、一般的な傾向としては、

タイヤ幅
値を大きくすると……グリップ増加 ノイズ増加 燃費悪化(=接地面積増)
値を小さくすると……軽快感増加 グリップ低下(=接地面積減)

偏平率
値を大きくすると……乗り心地改善 操縦安定性悪化
値を小さくすると……乗り心地悪化 操縦安定性改善

ホイールサイズ
値を大きくすると……同じ幅で偏平率の値を小さくできる
値を小さくすると……一部の軽量ホイール以外ではバネ下重量の軽減を図れる

というわけで、大抵、何かを得ると何かを失うようにできています。
ちなみに、世間一般では、「幅が太くて、偏平率の値が低くて、ホイールサイズがでかいもの」がカッコイイということになってます。大パワーのスポーツカーなんかが、こういうタイヤを履いているからでしょうね。そういうクルマは、タイヤに対してグリップと操縦安定性を求めているからそういう選択になっているので、非常に理論的な話なんです。
でも、大してパワーの無いクルマでこれをやると、「あ、見た目重視だな」とか、最悪「カッコだけじゃん(冷たい目)」と言われる可能性も否定できません。「やっぱりカッコは大事でしょ」というのもありだと思いますけどね。